「おひつじ座」 Aries(Ari)
星座の名前位は占星術の最初の星座なので、知っているのではないでしょうか。
「さんかく座」の南に接する星座で、黄道十二宮の一つでもあります。
「へ」の字を裏返したような星の並びが目印になりますが、ちょっと明るい空では当然のことながら暗い星空でも、目立った星が少ないためにその並びをたどるのは難しいかもしれません。
α星「ハマル」
β星「シェラタン」
γ星「メサルティム」
δ星「ボテイン」
この「おひつじ」は金色の毛を持ち、空をも飛ぶことのできた羊です。
ボイオティアの王「アタマス」は最初の妻「ネフェレ」との間に「プリクソス」と「ヘレー」を儲けます。
その後、2番目の妻「イーノ」と再婚した「アタマス」でしたが、「イーノ」との間にも二人の男児「レアルコス」と「メリケルテス」を儲けます。やがて、「イーノ」は継子である「プリクソス」と「ヘレー」の二人が疎ましくなり、二人を亡き者にしようと画策します。
ある年、小麦が凶作となった(これも実は、「イーノ」が女達に命じて種もみを焙らせた結果なのですが)為に「アタマス」はデルファイの神託所に伺いをたてる為に使者を送りました。それを知った「イーノ」は、使者を途中で呼び止めると、
『「プリクソス」を生贄にささげると凶作は終わるだろう』
という神託を受けたという返事をするように使者を丸め込んでしまいます。
神託は絶対です。「アタマス」は仕方なく「プリクソス」を生贄に捧げる為にゼウスの神殿に向かいました。
それを知った「プリクソス」の母「ネフェレ」がゼウスに助けを求めると、ゼウスは金色の毛を持つ空飛ぶ羊を向かわせ、生贄にされる直前の「プリクソス」と「ヘレー」を乗せ、空へと飛び立ったのでした。
羊は二人を乗せ、ヨーロッパからアジアへと向かいました。
その時、あまりのスピードと眼下に広がる海を見て目眩いがした「ヘレー」は波間へと落ちてしまいます。その後、その場所は「ヘレスポント(ヘレーの渡し)」と呼ばれ、エーゲ海と黒海をへだてる今のダルダネス海峡といわれています。
一人残った「プリクソス」を背にのせ、励ましながら羊はやがてコルキスの地へとたどり着きます。
そこで、「プリクソス」は王「アイエテス」に迎えられたといわれています。
無事にコリントの地に逃げられた「プリクソス」は黄金の羊をゼウスの神殿に捧げられました。また、その黄金の羊の皮は保護者である「アイエテス」によって大切に保管される事になります。
やがて、この黄金の羊の皮を目ざして「イアソン」の率いる「アルゴ船」の遠征が行われる事になるのですが、それはまた別の話として。
新日 1999/08/01 最新更新日:2009年09月23日
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