「ヘルクレス座」 Hercules(Her)
大きい星座ですが、ちょっとたどるのは難しい星座です。 球状星団M13があるので、望遠鏡を向ける事は多々ありますが...
「しし座」や「うみへび座」などで登場した英雄「ヘルクレス」の姿です。
位置としては、「こと座」の「ベガ」と「かんむり座」の間になります。
逆さかまになった巨人の姿を、実際の星空でたどるのは明るい星が少ないため、ちょっと根気がいります。
中国ではこのα星を「帝座」と呼んで、天子の星とみなしており、この近くに見慣れない星(客星)が現れると、天子に不吉な事がある印とされていました。
α星「ラス・アルゲティ」
β星「コルネフォロス」
χ星「マルファク」
κ星「マルシク」
λ星「マスイム」
この星座のモデルは「ヘルクレス」という人物で、ギリシア神話に登場する最大の英雄です。
「ヘルクレス」はギリシア神話の主神「ゼウス」とアルクメーネの間に生まれましたが、その為に「ゼウス」の正妻である女神「ヘラ」に憎まれ、呪われてしまいます。
様々な武術を学び、ギリシア一の勇士となった「ヘルクレス」でしたが、その呪いの為、ある日突然発狂すると、妻と3人の子供を火の中へと投げ込んでしまいます。やがて、正気に戻った「ヘルクレス」でしたが、その罪を償う為に、アルゴス王「エウリステウス」に仕え、その命令によって有名な12の冒険を行う事となるのです
その12の冒険譚は次のようなものです
ネメアの森の化け獅子退治 → 「しし座」
レルネアのアミモーネ沼のヒドラ退治 → 「うみへび座」
金色の角を持つケリュネィアの大鹿の生捕り
アルカディアのエリュマントス山に住む猪の生捕り
アウゲイアス王の厩の掃除
ステュムバロスの森にいる鳥の退治
ポセイドンがクレタに送った牛の生捕り
トラキア王ディオメデスの牝馬の生捕り
アマゾンの女王の帯をとってくる
ゲーリュオンの牛の群れをとってくる
ヘスペリデスの黄金のりんごをとってくる → 「りゅう座」
冥界の番犬ケルベロスの生捕り
これらの冒険をこなし、ようやく自由の身となった「ヘルクレス」でしたが、最期は哀しいものでした。
「ヘルクレス」が妻ディアネイラを伴っての旅の途中の事でした。
川の渡し守のケンタウルス「ネッソス」が、ディアネイラをさらおうとしましたが、「ヘルクレス」はヒドラの血をぬった毒矢で「ネッソス」を射殺してしまいます。死ぬ間際、「ネッソス」はディアネイラに対して、「夫の愛をいつまでもつなぎたけば、私の血をとっておきなさい」といったのです。
何年か後、「ヘルクレス」は祭壇を築き、神に感謝を捧げようとし、ディアネイラに清い衣を持ってこさせました。その時、ディアネイラはかつての「ネッソス」の言葉を思い出し、とっておいたその血を衣にしみ込ませたのです。「ヘルクレス」がその衣をまとうと、たちまち衣は肉にくい込み、毒が体中にまわりはじめました。そして、もはや助からぬと思った「ヘルクレス」は自ら火の中へと飛び込んでいったのでした。
死後、「大神ゼウス」の元に召された「ヘルクレス」は「ヘラ」とも和解し、その娘「ヘーベ」を妻としたとも言われています。
更新日 1999/07/10
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